デザイン思考についてまとめ
この前、「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」という本を読み、デザイン思考にとても興味を持ったので、デザイン思考がどれほど有効な考え方なのかを紹介したいと思います。
知的生産性を高める要素
- インプットの質
- 発想のジャンプ
- アウトプットの質
インプット
デザイナーのリサーチの特徴
より具体的に人の気持や生活シーンをイメージすることで、新たな切り口の仮設を発想するやり方。右脳を刺激するインプット(画像や動画での検索)
日常と違う幅の世界に触れて発想を広げる
- 人間横断 : 自分とはまったく違う環境の人の生活や人生に触れる(共感)
- 分野横断 : 共通項を持ちながら全く違った分野での例に触れる
- 地理横断 : 世界の全く違った場所でおこっていることに触れる
- 時間横断 : 歴史的な観点から時代を経ておこっている違いと共通点を知る
文字を使わずに考えるビジュアルシンキング
ノートの取り方を、文字だけでなく、イラストやイメージをメインにして取っていく事が、簡単にできる実施法
ジャンプ
新結合 : 様々な組み合わせを結びつける
アナロジー思考 : 一見違うものに共通点を見出す
言葉で考えるより、似ているものをビジュアルで考える事が効果的
デザイナーが実践しているアナロジー思考
- 発想のためのアナロジー
何かテーマを決めてそれを探して街歩きをして、写真を撮るトレーニングがおすすめ 伝えるためのアナロジー
比喩を上手く使うと、理解されやすくなる前提を壊す思考 : 前提となるルールを変えてしまう
アウトプット
凝縮フォーマット
1枚のポスターや、ネーミング、キャッチコピーなどのフォーマットを利用する。1枚で表現しなければならないという、フォーマットにおける制約を自ら課す事で、自動的に要らない要素を削ぎ落とさざるを得ない環境を作り出す。
ストーリーテリング
「物語の最小構成要素として4つの要素」を、ユーザを主人公にした「自分たちが提案したいサービスの最小構成要素としての4つの要素」に置き換えて考える
体験デザイン
様々なメディアを使った体験の可能性を考える
デザイン思考を成り立たせる前提
- 全ての情報を厳密に処理しようとしない
- 不明確な状態を恐れない
- 違いを生み出せる人はデザイン思考を無意識にやっている
手を動かして考える
プロトタイピングメソッド
スケッチプロトタイピング
手書き -> 取り込み -> 画像編集(色) プレゼンでも使えるようになる
-
頭のなかに有るぼんやりとしたアイデアの完成度を上げるために、少ない時間とリソースでつくるプロトタイプ
フランケンプロトタイピング
- コラージュプロトタイピング
- シナリオプロトタイピング
- スケッチモデルプロトタイピング
- 実物大体験プロトタイピング
デザインプロセス
- 具体と抽象の振れ幅
- 現実と未来の振れ幅
デザインプロセスは、この2つを行き来しながら4つのモード(リサーチ、分析、統合、プロトタイピング)を短期間で何度も回し、デザインする商品やサービスをどんどん具体的なものにしていくサイクル型で進めることで、不確実な状況下で柔軟で対応できるようにする
MBA型マーケティングとの共通点と違い
共通点
- ユーザの理解を出発点として、その学びを徹底的に分析し、課題を抽出するということ
- ユーザインサイトにしたがって意思決定をしていくこと
違う点
リサーチ
- マーケティング -> 市場を代表するユーザを正しく理解し、平均的に満たされていないニーズを特定する
- デザイン思考 -> 特徴のあるユーザの生活に徹底的に共感し、コンセプトを考える上で良い切り口になるような生活者のストーリーを発見し、紡ぎ出す
分析
- マーケティング -> 様々なサンプルから得られたデータを用いて、共通していえる事実を抽出し、わかりやすいサマリーで、チームやクライアントと戦略に合意を取る
- デザイン思考 -> 印象的な生の声やストーリーを収集したり、フレームワークを使ってリサーチでは直接得られなかった生活者のインサイトを想像し、できるだけ生の温度感のままチームやクライアントに伝え一緒に意味合いを考える
統合/課題の再定義
- マーケティング -> リサーチで学んだインサイトを箇条書きにしてまとめ、戦略の変更がある場合は明記する
- デザイン思考 -> リサーチで学んだインサイトの関係性を図示し、1枚のビジュアルで表現する。チームとして解決したいと確信した、課題を解決するための宣言文を作る
プロトタイピング
- マーケティング -> 商品戦略とコンセプトをまず固め、正式なプロジェクトチームを組んで製品開発へ移行し、本格的にプロトタイプをつくる
- デザイン思考 -> 初期アイデアの段階で、簡単なプロトタイプを作成し、顧客に提示し検証することで、どのアイデアを次のプロトタイプに進めるかを判断する
課題特定のための初期リサーチ
- 時代分析 : 「そもそも、なぜこのようなサービスが必要なのか?」という本質に戻って考えるもの
- トレンド分析 : 世の中に起こっている様々な変化の中で、今のカテゴリーを破壊するようなイノベーションの種を探したり、ビジネスにイノベーションが起こりそうかの仮設を立てるのに役立つ
ビジュアルデータでリサーチをする
デザインリサーチ
「ユーザの気持ちに共感できるようになる」ことや、「自分とは違う生活をしている人たちの生活文脈を感じる」こと、いかに「自分たちの今の世界から飛び出て違う世界を感じる」というマインドセットが大事
分析
リサーチの写真や学びのノート、Google ドキュメント上でのまとめを、チームで共有し、意味合いを一緒に出すのが特徴
共感マップ
様々なユーザへのインタビューの気づきをまとめ、共感を深めるためのフレームワーク
統合プロセス
- 学んだ様々なデータやアイデアを1度ばらばらにし、結びつけ直す
- ユーザーのものの見方のモデル化を行い、ストーリーとして語る
- 新たな世界観における課題の定義を行う
統合作業で使える手法
- KJ法
- ペルソナ
- カスタマージャーニーマップ
デザイン思考でプロジェクトを進めるツボ
- 相手のライフストーリーに共感できる生の話を引き出せるか
- 自分がチャレンジしたい課題に捉え直せるか
- いかにチームの中に無意識に存在するバイアスを壊すか
- スピーディーにプロトタイプを作りつつ、建設的な評判を行う
日々の知的生産性をあげる道具
1~4までは探せば100均でも見つかりそう
環境づくり
- ホワイトボード
- プロジェクトスペース
- プロトタイプ道具の入った箱
- マガジンラック
- プロトタイピングスペース
デザイン思考を活用した働き方のメリット
- ユーザーニーズ不在の企画を避けることができる
- 立ち上げチームが同じ方向を見て、動くスピードが早まる
- チームとしての発想力が増える
- プロセスが見えにくい企画プロセスの共通言語となる
デザイン思考の実施方法の9つのヒント
- 自分が創造力を持っていることを信じ続けることを強く意識する
- 日々、旅人の様な気持ちで、周りの世界から新しい発見を探そうとする
- 常にリラックスし、周囲にオープンな雰囲気を作り出す
- ユーザーに寄り添い、共感しようとする
- まず、現場に行って観察しようとする
- 「なぜ」を繰り返す
- 目の前で問題が見えていても、視点をずらして、本質的課題に置き換える
- 自分の創造力を応援してくれるネットワークをつくる
- 偶然の出会いを大事にする
イノベーションに重要な人材
- デザイン
- エンジニアリング
- ビジネス
感想
職業柄、論理的に物事を考えがちでしたが、この本を読んでから、より右脳を働かせる事を意識し、「 1 + 1 = 2 」というような、結論は決まってるではなく、他の可能性や手段を柔軟に模索するようになってきたかなと思います。特にUXの分野では超重要な考え方じゃないのかなと思うので、このような思考を持っているUXエンジニアの方と仕事をしてみたいものです。